佐々木忠平 記

「イロニアの音謡」

恥ずかしいのだが、僕は毎日これを聴いている。
そして涙ぐんでいる。
理由は解らない。
全11曲、ボーカルダビングは殆んど無い。
歌い出したら終わりまで歌い切る。
当たり前の事なのだが、ライブとは違い、普通は気に入らない箇所を演り直す。
今回はそれをしなかった。

僕はアドリブの人である。
実を言えば、歌う度に歌詞を変える。
18才の頃からの癖なのだ。
今回も一曲につき、5回位は歌詞を変えた。
意味不明になろうとも構わない。
しっくりこない言葉は省く。
「前の歌詞の方が良かったのに」と高橋明雄は僕に言った。
ロケンローラーはその日一日が全てなのだ。
昨日は無い。

僕の印象としては一枚目に近い。
マスタリングしたのを初めて聴いた時、そう思った。
サブも寺井もヒカルも、ちゃんと自分の位置を守っている。
文句ばっかり垂れるボーカルにお構いなく、メンバーは実にしっかりとアルバムに向かっている。

バンドとは不思議なものだ。
上手いとか下手とか、全く関係ない。

2006.6.25 UP

「日本競馬狂想曲」

ロックは音楽の事ではない。
ロックはポップスの母であり父であるが。
ロックは有史以来、様々な形となり、人となり、存在した。
今の日本人に必要なのはロックである。
戦後、理想主義は破綻し、現実を見つめ直す動きが、うねり始めている。

70年代ロック(アメリカンロック)は、パーソナルコンピューターを生み、 エコロジーを生み、デジタルを生んだ。
今、情報化社会となり、良くも悪くもこれを無視する事は出来ない。
しかし、ただ受け入れるだけでいいのだろうか。
ロックが必要な時が来た。
ポップスの時代があまりにも長く続き、音楽は商品となり、CDの売り上げだけが
ミュージシャンの価値となった。
能力主義がはびこり、若者は行き場を失った。

自分とは何か、 日本とは何か。
日本人であるとはどういう事か。
日本人は世界に対し何をなすべきか。
その想いによりこのアルバムは作られた。
日本人ロッカーによるひとつの解答と思って頂ければ、幸いである。

2005.5.28 UP


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